豆知識シリーズ(意外!?冬場になりやすいかくれ脱水)

2020.11.12 コラム

脱水症になりかけているのに、本人や周囲が気づかないため有効な対策がとれていない「かくれ脱水」になる人が増えています。
1年を通して脱水症になる可能性はありますが、なりやすい時期といえば夏ですが、冬にも脱水症を起こすことがあるのです。
夏は発汗や喉の渇きで水分不足を自覚しやすいですが、冬は空気の乾燥によって呼気や皮膚から水分が蒸発する「不感蒸泄」が増えるため、気付かないうちに水分が失われてしまいます。

<体内の水分の役割>
水分は体の中でさまざまな役割があります。体内の水分には主に、ナトリウム、カリウム、カルシウム、リンなどの電解質が溶解していて、血液や細胞などに含まれています。
そして、口から入った水分は胃から腸を通過して、毛細血管に吸収され、血液として全身を巡ります。細胞に新鮮な酸素や栄養素を運搬し、老廃物を引き取り、腎臓でろ過されて尿として排泄されます。
水分補給により血液循環がよくなると、体の司令塔である脳にも酸素が十分に行きわたり頭がスッキリします。また、肌の潤いを保つためにも水分補給は欠かせません。
人間の体内の水分量は、成人男性約60%、成人女性約55%で、高齢者は約50%程度まで減ります。そして、1日に呼吸や汗、尿や便などで体外に出ていく水分量はおよそ2.5ℓです。一方、食事や体内で作られる水分は1.3ℓ程度なので、飲み水として1.2ℓ程度必要となります。

<脱水症になると?>
かくれ脱水は、体の水分が減少し、脱水症状になる手前の状態です。唇や皮膚がカサカサしている、頭がぼーっとする、のどが渇く、汗を大量にかく、集中力が低下する、立ちくらみがするなどの症状が現れます。しかし、このようなかくれ脱水の兆候に、本人や周囲が気づいていない場合があります。特に、のどの渇きを感じ取りにくくなっている高齢者、のどの渇きを感じていても自ら水分補給ができない子どもなどに起こりやすく、有効な対策が取れないと脱水症状は進行していきます。
軽度の脱水症では、頭痛、倦怠感、立ちくらみ、食欲不振などの症状が現れます。
中等度では、嘔吐、めまい、乏尿などが現れます。それ以上、水分が喪失すると、血圧低下、循環不全など、命にかかわる重篤な症状をきたします。
また、血液の中の水分量が減り、血液がドロドロになることで脳梗塞や心筋梗塞の危険性も増します。

こんなときは要注意
・冬の空気が乾燥しているときや室内で暖房を使用していて、不感蒸泄により体から水分が失われているとき
・体を冷やしたくなくて水分を控えているとき
・トイレに行くことが大変で水分を積極的にとれないとき
・高熱が出ていて、水分の蒸発が増えているとき
・下痢や嘔吐をしていて水分が奪われているとき  など

<かくれ脱水の予防方法>
1、こまめな水分補給をする
カフェインやアルコールは利尿作用があるため水分補給にはなりません。また、スポーツドリンクには糖分が多く含まれるため、コップ1杯程度の白湯や水をこまめに飲むのがおすすめです。
2、食事から水分補給をする
味噌汁やスープなどを食事に取り入れましょう
3、おやつやから水分を補給する
みかん、いよかんなど、水分の多い果物をおやつに取り入れましょう
4、加湿器で部屋の湿度を管理する
湿度管理することで、体の表面から奪われる水分量を減らすことができます。室内は50~70%程度の湿度が良いでしょう。
子供や高齢者に周りの人が気にかけるようにする
水分が不足しやすい起床後や入浴前後、就寝前は意識して水分を補給する

以上、冬場でも起こる脱水症の話を致しました。
また冬場の乾燥した時期に入り、インフルエンザウイルスなどのウイルス活動が活発になってきます。
インフルエンザウイルスが、のどや鼻の粘膜にある感染部分に到着してから細胞内に侵入するまでに、最速で20分といわれています。
そのため、20分おきに水分補給をすることにより、感染部分についているウイルスを洗い流してしまおうということです。ウイルスは消化器官内に入ると分解されるので、感染・増殖することはありません。
そういった事からも、冬場でも細目に水分補給を心掛け、予防していくよう心がけましょう。