クラウドファンディングとは?

2021.7.16 コラム

「クラウドファンディング」とは、「群衆(Crowd)」と「資金調達(Funding)」という言葉を組み合わせた造語で、インターネットを通じて不特定多数の人に資金提供を呼びかけ、趣旨に賛同した人から資金を集める方法です。

現在では、中小企業が市場開拓や新規事業を目的としてクラウドファンディングを活用し、成功を収める例が増えています。不確実性の高い新規事業など、これまではリスクを負って自己資金を投入するか、何とか実績を作って融資を依頼するしかなかったケースでも、クラウドファンディングなら賛同者から資金を集めてスモールスタートを切ることができます。
クラウドファンディングの登場によって、「世の中に受け入れられるかどうか」というマーケティングを兼ねて、新規事業の可能性を世の中に問うことができるようになったのです。

クラウドファンディングのメリット

メリット1 不確実性の高い事業でも資金調達の可能性がある

従来は金融機関やベンチャーキャピタルからの出資を得るのが難しかった不確実な新規事業でも、支援者の賛同があれば資金を調達し、ビジネスをスタートすることができます。
また、消費者の支持を得られるかどうかを試す手段として利用することもできます。

メリット2 現金以外からもリターンを設定できる

クラウドファンディングの場合、支援者のリターンは現金以外で設定することができます。
当然ながら、金融機関やベンチャーキャピタルからの融資は、返済を前提としています。一方、購入型クラウドファンディングならばリターンを物やサービス、権利といった金銭以外の特典にすることができます。また、寄付型クラウドファンディングであれば、リターンを設定しなくても問題ございません。
ただし、プロジェクトの内容に魅力がなければ、そもそもの賛同者が集まらないことを認識しておきましょう。

メリット3 完全成功報酬制

クラウドファンディングサービスを提供している会社のサービス形態は、原則的に完全成功報酬制です。そのため、サイトを利用してプロジェクトを公開し、出資を募る段階では一切料金は発生しません。利用申し込みに関する条件もないので、自己資金がない人や事業経験が浅い人でも申し込むことができます。

メリット4 宣伝効果がある

まだ世の中に認められていないサービスや商品の開発に取り組んでいる場合、プロジェクトを公開することによって宣伝効果が見込めます。

メリット5 ファンを獲得できる

支援者はプロジェクトに賛同してくれているので、商品やサービスのファンとして資金提供後も支援を続けてくれるはずです。事業が軌道にのった後の顧客になってくれる可能性も高いでしょう。商品やサービスを通じて会社そのもののファンになってもらうことができれば、ほかの事業へのプラスの波及効果も望めます。

メリット6 多額の資金を調達できる

プレゼンやリターンの内容によって、1人でも多くの支援者に「魅力的だ」と思ってもらうことができれば、たとえ1人あたりの出資額は小さくても、多額の資金を調達できる可能性があります。
数十万円という小規模なプロジェクトから、できるだけ多く資金を集めたいという大規模なプロジェクトまで、幅広く対応できるのもクラウドファンディングのメリットといえるでしょう。

クラウドファンディングの注意点

クラウドファンディングでの資金調達には、注意点もあります。クラウドファンディングを利用するにあたってのデメリットを確認しておきましょう。

・資金がすぐに集まるとは限らない
金融機関による融資は、だいたい1ヵ月ほどで実行されますが、購入型クラウドファンディングの場合、目標額に達することができない可能性もあります。
「事業のスタートアップですぐに資金がほしい」という場合、すべての資金をクラウドファンディングで調達するのはきびしいでしょう。資金の一部を調達する手段として、または時間的に余裕を持って取り組むことができるプロジェクトの資金集めが適しているといえます。

・アイディアが他人や他社に盗用される可能性がある
クラウドファンディングは、自社や個人で温めていた商品やサービスを広く公開することによって出資を募る資金調達方法です。そのため、アイディアが他人や他社に盗用されてしまうリスクがあります。事前に特許を出願するなど、しっかり対策を立ててから情報を公開しましょう。

・企画が頓挫したときのリスクがある
クラウドファンディングで目標額を達成し、企画が進行したとしても、途中で頓挫する可能性があります。その場合約束不履行として、支援者からだけではなく社会的な信用を落とすことになってしまいます。

クラウドファンディングの登場で、「新しいビジネスを始めたいが、資金がない」「将来性のある企画だが、実績がないので融資が受けられない」という企業のチャンスが拡大しました。
経営者としては、クラウドファンディングのしくみを把握しておくべきでしょう。注意点をしっかり理解した上で、自社の成長に活かしていきましょう。